徘徊演習

「高速道路へ誤侵入?」、高速道路上でも認知症徘徊GPSは正確に測定できるか

2023年10月30日、昨年に続き、早朝より小雨が降る中、横浜マラソン2023に認知症徘徊GPSセンターの事務局が「高速道路へ誤侵入ではなく」、高速道路に自らの足で侵入して「徘徊演習」をしてきました。

前回「横浜マラソン(2022年10年30月)」の徘徊演習では、4G(LTE)対応の新GPS端末が導入されたことで、しっかりとGPS測定はできるのか、という疑問に42.195キロ走って実証実験をしてみましたが、以前の3G通信サービス「FOMA」に比べても、充電のモチや測位の精度も良くなったという結果を得ることができました。

今回は少し視点を変え、昨今社会問題になっている認知症高齢者や認知症の疑いがある高齢者が自ら自動車を運転して高速道路で逆走してしまうケースや、徒歩や自転車により高速道路へ誤侵入してしまうケースを想定して、高速道路上でもしっかり測位できるのかという演習です。

まず、高速道路は原付、自転車、歩行者の通行は法律で禁止されています。事務局の私も、昔、昔、原付の免許を取得したときに、高速道路に誤って入ってしまい、標識に見慣れない「緑色」が出てきて「あれ、見たいことない景色、看板、車が早い、まさか高速・・・?」と気づき、冷や汗をかきました。
今では、認知症高齢者に限らず、子どもや外国人、運転初心者、運転が不慣れな方等の個人の違いにかかわらず、一目で高速道路と分かるよう路面がシールや目立つ色で舗装されていたり、ポール等で物理的に侵入を阻止したり、目立つ注意喚起看板等で誤侵入を防ぐ対策が多くされています。
しかし、それでも高速道路への歩行者等の進入件数は、年々増加傾向であり、昨年度(令和4年)は3,828件発生し、うち「認知症・精神障害」によるものは427件で全体の11.2%であり、認知症・精神障害による高速道路への誤侵入は1日平均1.2件発生していることになります(出典:国土交通省)。
スマートインターチェンジ(ETC専用の簡易型インターチェンジ)では、ノンストップ通行はできず、高速道路侵入時でも必ず開閉バーの手前でいったん停止するので、「認知症・精神障害」の方でも誤侵入を事前に阻止したり、本人も異変に気づきやすいのかなとも思いますが、多くの高速道路の入り口にはゲートはなく、その入りやすさ、信号等も少なくノンストップで侵入することができる手軽さも、誤侵入を誘発する原因なのかなと思います。
ノンストップで侵入できる限りは、認知症高齢者や認知症の疑いがある高齢者を侵入前に完全に阻止することは非常に難しく、今後のICTの力で、侵入したら・しそうになったらいち早く気づき保護する仕組み、他の自動車(同乗者?)がすぐ通報する仕組みが近い将来実現するのではないかと思います。

さて、話はそれましたが、高速道路にフォーカスした今回の認知症徘徊GPSセンターの演習ですが、横浜マラソンは全国でも珍しい、高速道路を実際に走ることができるマラソン大会です。
高速道路は車で走ると平坦が多いような印象ですが、実際は平坦だけではなく、水はけのためなのか、道路が中心(上りや下りの境を頂上に。カーブは別のようですが)から、山のように傾斜が(バンク)かかっています。
今更考えると、認知症高齢者の方が高速道路で徘徊しているときに、道路のど真ん中(走行車線や追い越し車線)ではなく、路肩を歩いているケースが多く見受けられる理由は、重力の影響や歩きやすさ(環境や構造等)も多少なりとも影響しているのかなと、少し感じることができました。
また、今回走った高速道路の地上からの高さは最高地点で26.2メートルあり、風を遮るものもないため風の影響を受けやすく、今回の横浜マラソン2023でも強い風を体に感じました。テレビでも高速道路でパトカーがサイレンを鳴らしたり、遠くから大声で声掛けしても、認知症高齢者や認知症の疑いがある高齢者が無視をしているかの様子で歩き続けてしまっているのを見た事がある方もいらっしゃると思いますが、原因として、高齢になって耳が遠くなる、高音域の音から聞こえにくくなること以外に風の影響で聞こえにくい事も一因としてあるのかなと、今回実際に風が強い日に高速道路を走ることができてからこそ気づけたポイントではないかと思いました。

▼参考
・2022.10.30(徘徊演習/横浜マラソン2022)
https://www.ninchisho-haikai-gps.com/haikai10-2/
・H23年4月~R5年3月の高速道路(国土交通省及び高速道路会社管理)における確保または 事故に至った誤進入事案(全40,879件)(出典:国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/road/toukei_chousa/road_db/pdf/2023/6-4-6.pdf

■目的
「高速道路へ誤侵入?」、高速道路上でも認知症徘徊GPSは正確に測定できるか

■徘徊経路
START横浜市庁舎→神奈川県庁→横浜南部市場(折り返し)→FINISHパシフィコ横浜
※ランナー約23,000人の大型大会(GPS機能付き時計を装着しているランナーも多い)

◎まとめ
徘徊演習「横浜マラソン2023」で、高速道路上でもしっかり測位できた。
(時計マークはGPS端末機を測位した位置でマークの色により測位精度(高:緑/中:青/低:赤)を見分けることができる

今回気づいたことのひとつに、やっぱり高速道路は走っていても景色は良いものの不快な要素も多く、認知症高齢者や認知症の疑いがある高齢者の方で高速道路に誤侵入してしまった方の中には不快を感じて、そこから早く脱しようと出口を探したり、誰かに助けを求めたり、早歩きをしたりする方もいらっしゃると思いました。自ら好んで高速道路に誤侵入したわけではなく、認知症という病気が原因で誤侵入してしまっているので、もし走行中に歩行者を発見した場合は事故が発生する前に、温かい気持ちで通報をお願いできればと思います。
いずれにしても、家や施設等から意図せず徘徊、家等に戻れなくなってしまった事実に早く気づき、早く探す、対応するということが重要だと改めて実感しました。

高速道路でもトンネルの中では、GPS信号が届きにくく、測位制度が低くなるケースも想定されますが、探求心が旺盛な認知症徘徊GPSセンターの事務局としては、次回はフルマラソンでなくても、ある程度長い距離のトンネル内を実際にGPS端末をもって徘徊演習をしてみたいと思います。

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