認知症徘徊コラム

認知症で徘徊している可能性のある方を見つけたら何をすればいい?

認知症で徘徊されている方に出会ったとき、医療や介護従事者など認知症に対しある程度知識を持っていればすぐに適切な対応ができます。
しかしそうでない場合、ただの散歩なのか?何と声をかけるべきか?などとまどうことが多いのも事実です。

本記事では
・認知症の方を見かけたらどうするべき?
・認知症で徘徊されている方に出会ったときの対応
・散歩と認知症による徘徊との違いとは?
を中心に解説しています。

認知症で徘徊されている方に出会った時、あなたが少しの勇気を持って声をかけることで、救える命も十分にあります。

1.認知症による徘徊かどうかの見分けポイント

認知症で徘徊されている方に出会ったときに、注目してほしいポイントは以下の3点となります。
1.服装
2.時間帯
3.行動や会話
以上を総合的にみて、認知症による徘徊かどうかを判断します。
それでは上記のポイントについて詳しく解説いたします。

1.服装
 真冬なのに防寒着を着ていなかったり、スリッパや裸足で外を歩いていたり、雨なのに傘をさしていなかったりと季節や状況に合わない格好で徘徊している場合があります。
明らかに状況に合っていないとなると、認知症による徘徊の可能性が高くなります。
2.時間帯
 認知症による徘徊は早朝・朝が多く次いで午後・夕方、夜・深夜の順になります。(国立長寿医療研究センター)
深夜でウロウロしているのであれば、徘徊の方だと分かりやすいですが、日中や夕方の場合は徘徊かただ散歩をしているのかどうかが見分けがつかないこともあるため、他服装や行動・会話などで総合的に見て判断します。
3.行動や会話
 長時間座り込んでいたり、同じところを往復していたり、声をかけてもちぐはぐな返事や無視をして歩き続けていたり何か違うと違和感を覚えた場合も認知症の徘徊の可能性が高くなります。

2.認知症で徘徊されている方に
出会ったときの対応

外出中に認知症で徘徊されている可能性がある高齢者に出会ったときは、まず周りの安全を確認し、そっと近づいて視野に入ってから優しく声をかけてください。
天気や気温、景色はもちろん「何かお探し物ですか?」など尋ねてみます。
そこから「今日はどうされたんですか?」「お散歩中ですか?」と話を発展させ、徘徊の可能性がある場合は杖や靴、洋服など持ち物、身につけているものを確認してみましょう。
「住所・電話番号・氏名」など本人情報が書かれていることが多いので、それを元にご家族に連絡してあげると良いでしょう。
今では杖や靴底などにも取り付けられる認知症徘徊に対応したGPS機器やキーホルダーもあるため、何か些細な情報がないか確認できるとベストです。認知症徘徊GPSセンターではGPS端末に緊急連絡先を記載した物を提供しています。
しかし、声をかけても返事をしてくれない、身につけている物や持ち物を確認させてくれないといった場合は「認知症で徘徊している可能性の方がいるのですが…」と警察に通報してください。
できればご家族や警察が到着するまでそばにいて、世間話をしてあげると認知症の方の安心と安全を確保することができます。

3.認知症とは?種類と特徴

そもそも認知症にはどのような種類と特徴があるのか簡単に説明します。
まず、認知症は「脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます」(厚生労働省)
認知症の種類は
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症(脳梗塞や脳出血で引き起こされる)
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
といったものがあります。
その種類によって特徴は違いますが、認知症の多くは「アルツハイマー型認知症」です。
物忘れから症状が始まり「自宅が分からない、目的を持って外へ出たけどその目的も忘れてしまい彷徨っている」=徘徊のパターンになります。
例えば、昨日の夕食の内容を思い出せないということは誰にでもありますが、認知症の方は夕食を食べたかさえも分からなくなってしまうことが多いのです。

4.認知症の徘徊には目的がある

認知症による徘徊は突発的には起こらず、ほとんどの方が目的を持って徘徊しています。
例えば「仕事に行く時間」や「畑を見に行く」「散歩をする」などといった生活の習慣から徘徊につながる場合や、服薬の変更や引越しなどの生活環境の変化がストレスとなってしまい徘徊行動へとつながっていくこともあります。
徘徊の先には「本人なりの目的」を持っているため、私たち介護従事者は「話を聴くこと(傾聴)」を大切にしています。
あなたが認知症の方に出会ったときは、まずしっかりと話を聞いてあげることを心がけてみてください。

5.散歩と認知症における徘徊との違いは?  

散歩と認知症における徘徊は自宅に帰ることができるかどうか (行動をコントロールできているか)で判断します。自宅に自力では帰れない場合は徘徊と捉える事が多いです。
また、上記で徘徊の先には目的を持っていると解説したように、その目的自体を忘れてしまうのが認知症の徘徊となります。
そんな時には「お散歩中ですか?自宅はどの辺りですか?」などといった、何気ない会話も散歩と徘徊を見分ける重要なポイントになってきます。

認知症の方の徘徊による踏切事故や行方不明事例は後を絶ちません。
令和2年における行方不明者の状況(警視庁)の原因・動機には23,592人中17,565人が認知症・又はその疑いによる行方不明という結果が出ています。
地域や自治会で取り組んで、声かけ運動をしているところもありますが、それだけではなかなか手が足りません。
あなたの少しの勇気の声かけで、救える命もあります。仮に徘徊ではなかったとしても、気にかけてくれたことに感謝の言葉をかけてくれる方もいます。
認知症の徘徊による踏切事故や行方不明などの痛ましい事故を減らすためにも、本記事を読んで対応をぜひ参考にしてみてください。

参考記事
こころの病気を知る (厚生労働省)
令和2年における行方不明者の状況 (警察庁生活安全局生活安全企画課)
認知症等による行方不明者における死亡発見例の記述 図4 徘徊が生じた時間帯 (国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)
健康・福祉・介護のひろば 徘徊している高齢者を見かけたら

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執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士7年目の30代2児の母。介護職の楽しさを発信するためwebライターとしても活動中。大学卒業後、金融機関に就職するもやりがいを感じられず介護職に転職。デイサービス→結婚を機にリハビリ施設へ。介護士として毎日楽しく高齢者に寄り添いながら働いています。

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