秋は紅葉やお祭り、行楽シーズンなど、外出の機会が増える季節です。
過ごしやすい気候は、家族にとっても認知症の方にとっても嬉しい時間ですが、同時に徘徊のリスクや徘徊時の不安がより一層高まる季節でもあります。
「ちょっとお散歩に行っただけなのに、帰宅が遅い」
「お祭りで人混みに紛れてしまった」
「朝晩の冷え込みで体調を崩した」
など、秋の徘徊では危険性やリスクなどが高くなることが予想されます。
特に認知症の方は時間や場所の感覚が不安定になりやすく、日没や人混み、気温差などが思わぬトラブルにつながることがあります。
家族としては、見守ることに常に神経を使い、心配が絶えませんよね。
そこで、注目されているのがGPS端末による見守りです。
GPSを活用すれば、居場所をすぐに確認でき、暗くなる前に発見することが可能です。
本記事では、秋の季節の徘徊リスクや危険性を解説するとともに、GPSの活用法や導入のポイントについても詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
ご家族が安心して日常生活を送るための参考になれば幸いです。
秋の外出で徘徊がより危険になるのはなぜ?
① 日没が早くなる
秋は日が沈む時間が夏に比べて1〜2時間程度早まります。
夕方の明るい時間帯の散歩や買い物のつもりで外出しても、帰るころには日が落ちて暗くなってしまうことがあります。
特に認知症の方は時間感覚が曖昧になりやすいため、「まだ明るい」と思って出かけた結果、気づけば日が暮れてていたというケースも少なくありません。
また、夕方になるにつれ暗くなっていくと、視界が悪くなることで道に迷ったり、不安から混乱状態になってしまうこともあり危険性が高まります。
② お祭りや行楽シーズンの人混み
夏に続いて、秋は地域の秋祭りや紅葉観光など、イベントが多く開催されることもあり、人が集まる場面が増えます。
認知症の方は「出かけたい」という自然な気持ちから外出することがありますが、人混みの中では一瞬で姿を見失うことがあります。
家族が気づく頃には遠くに行ってしまったり、混乱してパニック状態になることがあるため非常に危険な状況になりやすいです。
③ 薄着や防寒不足による体調不良
秋は日中と朝晩の気温差が大きく、服装選びが難しい季節です。
認知症の方は体温調節や服装の選択が苦手なことが多く、薄着のまま夜に外出をして風邪を引いたり、体調を崩しやすくなるケースがあります。
特に高齢者は免疫力が低下しているため、軽い風邪でも重症化するリスクがあることを理解しておく必要があります。
2.GPSでできる安心の見守りとメリット
① 暗くなる前に居場所を把握できる
GPS端末を持たせておけば、家族はスマートフォンからすぐに居場所を確認できます。
帰宅が遅いときも、地図上で現在地を把握できれば、暗くなる前に迎えに行くことができます。これにより、夜間の徘徊による事故や迷子のリスクを大幅に減らすことができます。
② 人混みでも探しやすい
お祭りや紅葉観光などの人混みの行楽地では、家族が一瞬目を離しただけで認知症の方を見失うことがあります。
GPSを持っていれば現在位置をリアルタイムで確認でき、迅速に合流できます。
迷子放送を頼む前に家族が自力で発見できることも多く、トラブルを最小限に抑えることができます。
③ 体調悪化の予防にもつながる
GPSは単に居場所を知るだけでなく、長時間同じ場所にいる場合や普段行かない方向に進んでいる場合にも通知が届くものがあります。
寒い夜に徘徊している場合も迅速な保護につなげることができるため、風邪や低体温症など体調の悪化を防ぐメリットがあります。
④ 移動の履歴を把握できる
認知症徘徊GPSセンターのGPSは、外出先でどの道を通ったか履歴を確認することができます。
徘徊傾向や好むルート・パターンを把握することで、外出時により的確に発見までの行動ができます。
⑤ 家族の安心感が得られる
GPSを活用する大きなメリットのひとつは「暗くなる前に発見できる安心感」です。
また、外出先でも居場所を把握できることで、家族は精神的な負担を減らすことができるでしょう。
「出かけたい気持ちはあるけれど、安全を確保したい」という場合に、GPSは最適なサポートアイテムになります。
GPSは「外出先でも安全を守れるツール」として非常に有効なアイテムです。
3.GPSの活用シーン例
夏から季節が変わった秋での徘徊行動パターンを想定し、GPSの活用例を紹介します。
① 夕方の散歩
17時に散歩に出かけた方がなかなか帰宅せず、家族がGPSで確認したところ、自宅から約2km離れた場所を歩いていました。暗くなる前に迎えに行くことができ、事故を未然に防ぐことができました。
② 秋祭りでの迷子
地域のお祭りで混雑の中、家族が見失ってしまったケースでも、GPSで現在地を把握できます。
短時間で合流でき、迷子のアナウンスや捜索の手間を省くことができました。
③ 夜間の外出
夜中にパジャマ姿で外に出てしまった場合、GPS端末から通知が届きすぐに迎えに行くことができました。体調を崩す前に保護でき、家族も安心できました。
4.GPSを選ぶときのポイント
① 軽量で持ち歩きやすい端末を選ぶ
ポケットやバッグ、杖につけるなどをしても、負担にならないサイズや重さが理想です。
② 持ち忘れ防止の工夫
靴やお守り型ケースに入れられるものを選ぶなど、日常生活に自然に取り入れやすい形が望ましいです。
③ 家族全員でアプリ共有
スマホで位置を確認できるようにすれば、介護者一人だけでなくご家族誰でも対応可能になり安心です
④ 介護保険や自治体の助成を活用
GPS端末のレンタル費用を補助する制度がある自治体もあるので、費用面での負担を減らすことができます。
5.まとめ
秋は日没が早く、人混みや気温差など、認知症の方にとって徘徊時の危険リスクが高まる季節です。
GPSを活用することで、「暗くなる前に発見できる」という安心感を得ることができ、家族の不安も軽減されます。
認知症GPSセンターでは、ご家族の安心をサポートするため、GPS端末のレンタル・販売や使い方のアドバイスを行っています。
令和6年では、総人口が減少する中で、65 歳以上人口は 3625 万人と過去最多になり、それに従い認知症の方も増えていくと予想されます。
決して他人事ではない、認知症の徘徊問題にしっかり対応していきたいものです。
そして、大切な家族の安全を守るために、ぜひGPSによる見守りを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考
総務省 統計からみた我が国の高齢者
令和6年版 高齢社会白書(全文)

執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士としてデイケアで働きながら、介護職の楽しさを発信するためWEBライターとしても活動中。読みやすく分かりやすい文章を目指して頑張っています!