認知症徘徊コラム

認知症の方が入れる代表的な施設「グループホーム」とGPSの役割

認知症の家族が徘徊のリスクがある場合、GPSを使って居場所を把握するなどといった対策を講じながら、自宅で介護を続けるご家庭も多いのではないでしょうか。
しかしながら自宅介護に限界を感じる方も多く、その際に検討することが「施設への入居」となります。

認知症の方を介護するご家族にとって
● 認知症患者が入居できる施設はあるのか
● どのような施設が適しているのか
など、施設への入居を考えた際に大きな課題を抱えることがあります。
認知症患者が入居できる代表的な施設は「グループホーム」ですが、その他に『特別養護老人ホーム(特養)』,『介護老人保健施設(老健)』,『有料老人ホーム』の3つがあります。それぞれの施設によって特徴や提供されるサービスが異なります。

この記事では、認知症の方が入居できる代表的な施設「グループホーム」を中心に、施設入居とGPS機器を活用する介護について、詳しく解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。

1.グループホームとは?

「グループホーム」は、認知症の診断を受けた方を対象に、少人数で共同生活を送りながら介護サービスを受けることができる地域密着型の施設です。

人数 ● 5~9名程度を1グループ(介護用語で1ユニット)の少人数制
● 1施設1~最大3ユニットで運営
サービス ● 健康や生活をサポート(身体介護・生活援助など)
● 看取りケア可(ただし医療依存度が高いと入居継続が困難に)
特徴 ● 施設全体がバリアフリー設計が多い
● 家庭的な環境、雰囲気の中で生活を送れる
● 徘徊などの認知症特有の行動に対する安全対策も充実
注意点 ● 退去勧告の可能性もある
● 医療ケアが充実していない
● 施設の空きが少ないため入居待ちもある
● 地域密着型なので居住地域以外の施設には入居できない

家庭的な環境の中で少人数ならではのきめ細やかなケアを受けることができる点がグループホームの魅力です。
しかし、医療・看護スタッフの配置が義務ではないため医療ケアが充実していなかったり、共同生活が送れない状態になると「退去勧告」の恐れがあったり、いくつかの注意点もあるので確認しましょう。
グループホームは、入居者の生活リズムや個性に合わせた介護サービスを提供することができるメリットをもっており、認知症の方が自尊心を保ちながら安心して暮らすことができます。

2.入居施設とGPSの役割

施設入所後でもGPSを利用することには多くのメリットがあります。
特に外出時や施設内での安全対策として、GPS機器が大いに活用されることに期待が持てます。
施設によっては入居するにあたり、GPS機器のレンタルを条件にしているところもあるようです。
それでは、施設でGPS機器を活用するメリットを説明していきます。

①外出時の安全確保

認知症の方が施設から外出する場合、徘徊のリスクを伴うことがあります。
GPSを持たせることで、万が一迷子になった場合でも、迅速に居場所を特定し発見することが可能です。
特に、散歩や外出の機会を増やす施設では、GPSは介護スタッフにとっても利用者にとっても安心材料となります。

②家族の安心感の向上

施設入所後も、ご家族にとっては本人が安心できる環境で過ごしているか気になることもあるでしょう。
GPSの利用は大きな安心感を得られます。

③緊急時の対応が迅速に

施設内外で発生する予期せぬ事態にもGPSは有効です。
徘徊や異常行動が発生した場合でも、位置情報をリアルタイムで確認できるため迅速な対応を取れるようになります。
これにより、事故やケガを未然に防ぐことができ、施設利用者の安全が確保されやすくなります。

④施設スタッフの業務効率化

GPSの導入は、介護スタッフの業務負担を軽減する効果もあります。
入居者全員の動向を常に目視で確認するのは難しいことですが、GPSを活用すれば、見守りが容易になり他の業務に集中できる時間が増えます。
これによってスタッフ一人ひとりの負担が減り、サービスの質が向上することが期待されます。

GPS機器の活用は施設においても、負担を減らし安心して過ごせる環境を作ることができる大きな存在になってくるのではないでしょうか。

3.認知症の方が入れる施設の種類

グループホーム以外にも、認知症の方が入所できる施設は複数あります。以下に代表的な施設を紹介します。

● 特別養護老人ホーム(特養)

要介護度が高く、長期的なケアが必要な方を対象とした公的な施設です。
利用料金が比較的安価であり、経済的な負担が軽減されます。
認知症の方に対しても「徘徊対策」や「見守り」が行われています。
入所者数が多いためアットホームな雰囲気ではなく、賑やかな環境での生活になります。

● 介護老人保健施設(老健)

リハビリテーションを目的とした施設で、病院と自宅の間をつなぐ役割を果たします。
認知症の方も一時的な入所が可能ですが、長期間の利用には向いていません。

● 有料老人ホーム

民間の施設で、様々な介護サービスを提供しています。
認知症の方を受け入れる施設も多く、充実したサービスが特徴ですが費用が高めになっています。

4.まとめ

自宅介護においてGPS機器を活用し、認知症の家族の居場所を確認しながら生活を支援することはできますが、認知症状が進むにつれ限界がきてしまいます。
その時に、最終的にプロの介護スタッフがいる施設への入所を選択することが、ご家族にとっても本人にとっても良い解決策になるのではないかなと感じます。
認知症の方が安心して生活できる施設として、グループホームは非常に有効な選択肢の一つです。本人の状況や希望に応じてさまざまな施設を検討してみてくださいね。

参考
厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

https://www.ninchisho-haikai-gps.com/gps_rn/wp-content/themes/cure_tcd082/img/common/no_avatar.png

執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士としてデイケアで働きながら、介護職の楽しさを発信するためWEBライターとしても活動中。読みやすく分かりやすい文章を目指して頑張っています!

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