認知症徘徊コラム

夏の徘徊は危険がいっぱい!熱中症と迷子に注意〜認知症の見守りにGPSの活用を〜

 気象庁によると、2025年6月の日本の月平均気温は平年より2.34℃高く、1898年の統計開始以来、同月としては最も高い記録となったそうです。
特に東日本から北日本では、平年よりも2℃以上高い気温が続き、札幌市や仙台市では平年より3℃以上高い気温を記録しました。
また、6月の真夏日(最高気温30℃以上)の日数も各地で過去最多を更新し、東京都心では13日、宇都宮市では15日、前橋市では16日など、全国的に記録的な高温となりました 。

 ここで認知症のご家族を持つ多くの方に、特に注意をしていただきたい“夏の徘徊問題”

「ちょっと外に出ただけ」
「少し散歩するだけ」

という軽い気持ちから、迷子や徘徊中の熱中症など深刻なトラブルに発展するケースが多いです。
特に梅雨時期からの暑い季節では、徘徊による事故のリスクが高まるため、家族としては目が離せません。

 今回の記事では
● なぜ夏が徘徊リスクと熱中症の危険が増すのか
● 実際の徘徊時での熱中症事例
● 徘徊の見守りに効果的なGPSの活用

などをご紹介します。
大切なご家族を守るための一歩として、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

1.なぜ夏の徘徊は特に危険なのか?

 2025年の6月と7月は日本全国で記録的な猛暑となりました。
6月は月平均気温が過去最高を更新し、東京都心や東北地方でも真夏日が続出。7月に入っても猛暑日が多く「災害級」の暑さでした。
 こうした異常な高温は、高齢者の熱中症リスクを一層高め、認知症状のある方が、徘徊中に体調を崩す危険性を増大させています。
 実際に、猛暑の中で熱中症により命を落とした事例は多くあり、夏の暑さには十分な注意と対策が必要になります。

① 熱中症のリスク

 夏は気温が上昇し、屋外の環境は高温多湿になっています。
高齢者の熱中症のリスクが高い理由は、高齢者は体温調節の機能が低下しており、若い方に比べて暑さを感じにくくなっているからです。

 認知症の方は特に、体の熱を周囲に逃がす熱放散能力が低く、深部体温が上昇しやすくなります。
自覚症状がないまま熱中症や脱水症状を引き起こしやすいのが特徴です。
また「トイレが近くなるから」という理由で、水分補給を控える高齢者や「エアコンの風が嫌い」といった理由から、エアコンを使わない方も多く、熱中症へとつながるリスクが高くなります。

 実際に横浜市では、83歳の認知症男性が猛暑の中、施設から行方不明となり公園で倒れていた事例があります。
脱水症状と低栄養状態で発見が遅れ、命を落とす結果に至りました。
これは認知症による徘徊と熱中症の複合的リスクがもたらす怖さを物語っています。

② 薄着や帽子なしで外出

 夏は気温が高いため服装が軽くなりがちで、帽子や日傘を忘れることも多く、直射日光にさらされてしまいます。
こうした状況で外に長時間いると、知らず知らずのうちに体力が奪われ、熱中症になるリスクが一気に高まります。

③日が長く外出しやすい時間が増える

 夏は日照時間が長いため、夕方や夜でも明るく感じ、本人も家族も「まだ外にいても大丈夫」と思いがちです。
 認知症の方は時間感覚が不安定なこともあり、つい外に出てしまい、そのまま迷子や事故に巻き込まれる可能性が高まります。

2.徘徊時の熱中症事例と統計データ

 記憶や判断力の低下によって
「目的地にたどり着けない」
「帰宅の手段がわからなくなる」
といった徘徊状態に陥ると、炎天下で数時間にわたってさまよい続ける危険性が出てきます。
これは決して珍しい話ではなく、認知症を患う高齢者の誰にでも起こりうることです。

● 熱中症で亡くなった認知症高齢者の実例

 横浜の認知症の男性が猛暑の中、徘徊して公園で倒れ、脱水症と低栄養が死因で亡くなった痛ましい事件は、認知症徘徊の危険性と熱中症の怖さを示した事例です。
また、認知症による判断力の低下が、体調管理にも影響を与えています。
 警察官が2度声をかけたにも関わらず、助けられなかった悔しい事故となってしまいました。

● 高齢者の熱中症救急搬送の統計

 総務省消防庁によると、令和6年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計は 97,578 人でした。
その中でも、高齢者(満 65 歳以上)が最も多く 55,966 人(57.4%)というデータがあります。
高齢者の方の熱中症リスクが高いことが明確で、夏の高温多湿環境は、高齢者の命に直結する大きな脅威と言えます。
また、発生場所は住居が最も多く37,116 人、全体の約38%が熱中症で救急搬送されている現実があります。

3.GPS見守りサービスの紹介とメリット

 夏の徘徊対策として、早期発見と迅速な保護につなげるアイテムの一つが「GPS見守りサービス」です。
GPS機器を高齢者に携帯していただくことで、家族や介護者はスマートフォン・パソコンから、現在地や移動履歴をリアルタイムで把握することが可能です。

「どこにいるか分からない」
「いついなくなったか分からない」

 という不安や精神的な負担を減らすことに加え、捜索にかかる時間を大幅に減らすことにもなります。
また、エリア外への移動を通知するアラートや、万一の際の「SOSボタン」機能などを搭載しており、暑さによる意識低下や迷子のリスクが高まる夏場にこそ、有効な見守り手段といえるでしょう。

① リアルタイムで居場所を確認、迷子の早期発見に

 GPS端末を持つことにより、ご家族はスマホやPCで居場所をいつでも確認することができます。
高齢者が徘徊をしても早期発見になり、安心感を持って日常生活を送ることが可能です。

② 1ヶ月から始められる安心感

 当社のGPSレンタルサービスは、契約期間の縛りがなく、1ヶ月単位で利用可能です。
「必要なときだけ使いたい」
「まずは短期間試してみたい」
というご家庭でも、初期費用を抑えて導入できるのが特長です。
また、「試してみて合わなければすぐ解約できる」ので、初めての方でも気軽に導入できます。
「高齢の親にGPSを持たせるなんて…」と悩まれるご家族も少なくありませんが、“持たせる”のではなく“守る”ために使うという発想が、安心と自立を支える第一歩になります。

③ 自由度の高いレンタルプラン

 弊社のレンタルプランでは、外出が増える夏の時期だけ利用したいといった方でも気軽に始められるようになっています。
長期契約のプレッシャーなく、必要な期間だけ使うことができるのは大きなメリットになるでしょう。

4.ご家族ができる具体的な対策

● 暑さ対策の徹底

帽子、日傘、こまめな水分補給を促しましょう。屋外に出る際は積極的に持たせた方がいざという時のために良いです。

● 外出時の服装

薄着や厚着をし過ぎると体調を崩しやすくなります。体温調節がしやすい服装を着るように声かけしましょう。

● 外出時間

できるだけ暑い時間帯の外出は避け、朝夕の涼しい時間帯に誘導できるといいですね。

● 見守り体制の強化

GPS端末の活用、近所の見守りネットワーク作りなども有効な対策手段の一つです。

● 徘徊時の対処法を家族間で共有

連絡先の確認や見つけた場合の対応など、家族で話し合ったりシュミレーションをしておくとスムーズです。

5.まとめ:夏の徘徊の熱中症リスクに備え、安心の見守りを

 これまで、夏は特に認知症の徘徊時における「熱中症リスク」の危険性が高まる時期とその理由についてご説明してきました。
大切なご家族が安全に過ごせるよう、暑さ対策と同時にGPSなどの見守りツールの活用が非常に役に立つことと思います。
 当社のGPSレンタルは、契約期間の縛りなし、1ヶ月から試せて、合わなければすぐ解約も可能。
「まだ大丈夫」と思う今こそ、安心を買う行動を始めてみてはいかがでしょうか?
 

参考
6月の記録的な高温と今後の見通しについて(気象庁)
熱中症、こんな人は特に注意(プロジェクト推進:一般財団法人日本気象協会)
令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況(総務省  消防庁)

https://www.ninchisho-haikai-gps.com/gps_rn/wp-content/themes/cure_tcd082/img/common/no_avatar.png

執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士としてデイケアで働きながら、介護職の楽しさを発信するためWEBライターとしても活動中。読みやすく分かりやすい文章を目指して頑張っています!

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