認知症徘徊コラム

GPSは介護保険適用で使える?利用方法は?

認知症の方を介護する際、外出時の行方不明など緊急時の対応が心配になったことはありませんか?
特に外出時において、どこに行ったのか分からなくなることは、家族にとって大きな負担やストレスを感じてしまい気軽に外出することもままならくなってしまいます。
そのような負担やストレスを軽減するために注目されているのが「GPS機器」です。

 しかし「GPSを持たせたいけれど、介護保険で利用できるのか?」と疑問を持っている方も多いかと思います。

結論を言うと「自治体によって異なる」です。
住んでいる地域や生活状況、その他条件があった上で、利用できるかどうか変わってしまうため一概に利用できるとは言えないのです。

 この記事では、GPSを介護保険で利用する条件について、介護保険適用の福祉用具や介護保険で利用するメリットデメリットなどについても解説しています。

● 福祉用具ってなに?
● 介護保険適用の条件とは?
● 介護保険適用外のメリットはある?

など、お悩みの方向けの記事になります。

 介護をする家族の安心感と認知症患者の安全を守るため、興味のある方は最後までご覧いただけると幸いです。

1.介護保険適用の福祉用具とは?

 厚生労働省によると「介護保険の福祉用具は、要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象としています。」
と明記しています。

給付の対象種目

 介護保険が適用になる福祉用具は

● 手すり
● スロープ
● 車いす(付属品含む)
● 特殊寝台(付属品含む)
● 認知症老人徘徊感知器機器

などがあります。

 よく間違えられやすい「認知症老人徘徊感知器機器」は、GPS機器ではなく徘徊防止センサーや見守りカメラのようなものです。
玄関ドアやベッドからの離床など人の動きを察知したら、家族や介護者に知らせが入る機器です。
認知症老人徘徊感知器機器は種類によって、GPS機能が付いているものもあります。
GPSを付帯している感知器機器を利用すれば、GPS機能も使えるということですね。

2.自治体によるGPS機器の助成

 介護保険適用で支給される「福祉用具貸与」や「福祉用具購入」の対象として、認知症の方の安全確保のために、関連する機器(見守りカメラやセンサーなど)が認められる場合もありますが、GPS機器が含まれることは一般的には少ないです。
しかし、自治体でGPS機器費用の助成や貸与をしているところもあります。

例えば、茨城県日立市では家族支援事業として「介護保険制度におけるGPS端末を活用した見守り支援サービス」を実施しています。

次に自治体ごとのサービス内容を紹介していきます。

● 茨城県日立市

 茨城県日立市では「認知症等により帰宅が困難になるおそれのある高齢者が、介護保険制度(福祉用具貸与)の認知症老人徘徊感知機器(GPS端末)を活用する際、GPS端末を装着する専用靴購入費用の一部を市が助成します。」

対象者:認知症がある要介護(要支援)認定者を介護している家族等
助成額:専用靴代(税込)の9割(上限10,000円)※靴代(税込)の1割を自己負担
【例 15,000円の専用靴を購入した場合】
● 市の助成:15,000円×9割=13,500円 →上限である10,000円
● 自己負担:15,000円(靴購入代金)-10,000円(市助成額)=5,000円

申請期限:GPS端末を装着する専用靴を購入した日から30日以内。
ただし、年度内に限ります。

日立市では、GPS本体ではなくGPS機器を装着する専用シューズの購入費用の一部を助成しています。
一般的な靴とは違い、GPSが装着できるよう特殊なものになっているので価格も高くなりますが、助成してくれるのはとても助かりますね。

● 神奈川県横須賀市

 横須賀市では「認知症高齢者の方などの、日ごろからの安全安心な暮らしをサポートするため、GPS機器を用いた位置情報検索システムの導入費などを助成します。」

対象者:横須賀市に住民登録されていて「横須賀にこっとSOSネットワーク」に登録されている方を介護する方で、位置情報検索システムの利用契約を締結した方

①導入助成:助成上限額10,000円(※1人につき1回に限る)
・令和6年4月1日以降に契約したもの
・位置情報検索システムの導入及び利用契約に要した費用(介護保険のレンタル品は対象外)

②月額利用料助成:利用契約に伴う月額利用料 助成上限額1,000円/月(年間上限額12,000円)

 横須賀市の助成施策は、令和5年度からスタートでまだ新しい制度となっています。

● 京都府京都市

京都市では「高齢者あんしんお出かけサービス事業〜小型GPS端末機の貸出〜」を実施しています。

対象者:認知症により外出時に自宅等に戻れなくなるおそれのある高齢者等を在宅で介護している家族等
利用者負担:月1,500円

 助成金が出る他に、GPS機器の貸し出しもしている自治体もあるようで、住んでいる地域によって大きく異なっているようですね。

 自治体を通じてGPS関連機器の費用を助成してもらいたい、GPS機器を利用したい場合は、まず市役所やケアマネージャー、地域包括支援センターなどに相談し確認してみましょう。

3.介護保険適用のメリットデメリット

 介護保険を利用する際のメリットデメリットを解説します。
介護保険適用の場合、最大のメリットといえば費用を抑えられるということです。
 介護保険適用の場合、1〜3割の利用者負担で利用できるため、特に費用を抑えたいという方にはメリットが大きいですね。
他にも、メンテナンスや修理はレンタル事業者が基本なので、本人やご家族、介護者の負担がほとんどないといったことも挙げられます。

 一方で、介護保険を使いたいとなると、すぐに使えないというデメリットがあります。
介護認定をもらっていない場合、まずは要介護認定の申請をしなければいけません。
訪問調査や主治医の意見書作成、一次判定、二次判定、そして結果通知のあとに介護保険が使えるという流れとなっており、申請から通知まで約30日ほどかかってしまいます。

緊急で使いたいとなった場合は、介護保険適用外のGPS機器を利用するのをおすすめします。

介護保険適用外のメリットとは

 前章でも説明しましたが、介護保険適用外はすぐに使えるというメリットがあります。

 当社のGPS機器は、決済完了後最短1〜3日で発送が可能となっています。
すぐにでもレンタルしたいとお考えの方は、ぜひご検討ください。
初期費用0円で月額3,080円(税込)・1ヶ月単位でレンタルできる「レンタルプラン」がおすすめです。

 他にも、介護保険適用外のメリットとして
● 自分で気に入った機種を使える
● 要介護度や上限を気にせず利用できる
などが挙げられます。

 介護保険適用の福祉用具には、対象品目や利用条件(要支援・介護度によってレンタル対象が決められている)などが定められていますが、適用外の福祉用具であれば自由に選択が可能です。

4.まとめ

 GPS機器自体は介護保険適用にはなりませんが、認知症老人徘徊感知機器(徘徊防止センサーなど)の付帯としてGPS機能が付いていれば、利用可能になる場合もあります。
また、自治体によっても大きく異なるので、気になるようであれば市町村窓口や地域包括支援センター、ケアマネージャーなどに相談してみるといいでしょう。
選択肢の幅が広がり、より個人の身体の状態や環境に合ったものが利用できるといいですね。

参考
厚生労働省 福祉用具・住宅改修
日立市【見守り】日立市認知症高齢者の家族支援事業 介護保険制度におけるGPS端末を活用した見守り支援サービスのご案内
横須賀市 GPS機器を用いた位置情報検索システムの導入費などの助成
京都市高齢者あんしんおでかけサービス

https://www.ninchisho-haikai-gps.com/gps_rn/wp-content/themes/cure_tcd082/img/common/no_avatar.png

執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士としてデイケアで働きながら、介護職の楽しさを発信するためWEBライターとしても活動中。読みやすく分かりやすい文章を目指して頑張っています!

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